神戸新開地の展覧会

 美術家の伊達伸明とともに出展作家として参加した展覧会、「とりのゆめ -bird's eye-」の空間構成である。伊達氏の編み出した「しらんけど考古術」という新しい切り口を使って「、神戸新開地(=展覧会場である神戸アートビレッジセンターが建つまち) の誕生秘話」を創作し、それが展覧会の骨格を担う。 いわゆる「展示作品」をつくるのは美術家である伊達氏にお任せし、都市のリサーチ、物語の創作、それらを踏まえ て作り出された美術家の作品やまちの歴史を示す資料を展示する空間構成を展示作品として捉えて制作した。 創作した物語は海と山が舞台となる。また、海側、山側という視点で方角を認識するのは神戸では現在でも馴染みのある方法だ。
 空間構成もその形式に則り、1 つの物語を海と山に別れた 2 つのルートを設けた。それぞれの視点で物語をなぞることを優先し、 ルートを相互に行き来することはできないようにした。海側と山側の 2 つのルートを巡らないと全てを観賞できないというわ けだ。 「海と山」、「過去と現在」、「事実と空想」といった展覧会を形作る二項対立の構えを空間構成でも踏襲し、ギャラリーの仕上げ は一方をホワイトキューブの原則でつくった白いギャラリーとし、もう一方を荒々しいラワン合板で構成したギャラリーとした。さらには、展示壁の軸を既存の展示空間に対し、斜め 45 度に振り配置していくことで、限られた空間に奥行を持たせ、 なおかつ鑑賞者が既存の展示室における自身の位置を認識しづらくすることで、より展示に没頭できるようにした。

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